ブログトップ

草と言葉

kusakoto.exblog.jp

狼山

「狼山」というお酒を買った。上品な味わいの香りのよい酒だった。
秩父の三峰神社には狛犬の代わりに狼がいる。
江戸時代には農地の害獣を追い払うとして、「お犬様」と呼ばれる山犬信仰が広まったらしい。
神社の裏にお酒の出店があり、そこで「狼山」を買ってきた。
今はもう一匹たりともいない山犬。だから安心して登山もできるのだが、かつて恐れ、また一方ではあがめながら人々がおおいに意識していた存在が消えてしまったということはなんとも空しい。
三峰神社の狼たちはピッと背筋を伸ばしてすわり、夏の日差しを凝視していた。
ミヤマカラスアゲハやスミナガシが舞うことはあっても仲間の遠吠えが聞こえることはない。
山犬の声の聞こえる山はどんなものだったろう、恐ろしく近付きがたいものだったろうか、それとも生き生きとした命のうごめきを感じられるものだったか。
「狼山」を味わいつつ、かつての山の声を想像してみたい。
[PR]
by nabana05 | 2005-08-12 06:18 | | Comments(3)
Commented by 草子 at 2005-08-15 01:40 x
狼山のお味は如何でしたか?
勇ましいかっこいい名前のお酒ですね。
nbana05さんのお話のとおり、
安心安全な登山は楽しいけれど、
山中に入ってもおそれを何も感じないことは、
人間にとってかえって怖いことのように思えますよね。
Commented by 光子 at 2017-06-12 22:31 x
三峰神社行きましたよ。今年のGWに。気持ちのいい場所でした。今、パワースポットとして人気らしいですが、それとは関係なく、狛犬様ではなく狼ということ、強い神様で強い意思の者でないと逆にやられてしまう。ということに何故か惹かれ行ってきました。山がきれいで空気がきれいでいい場所ですよね。狼山は私と同じくお酒好きの友人のお土産に買いました。良かった!美味しいお酒なんですね。次は自分の分も買おう!狼がいないのは寂しいですね。もちろん危険もありますが。。。よくありがちな人間が悪い!なんてことは言いません。その時々の理由で捕獲された動物がいたんだと思います。そして、絶えてしまった。。。けれど、私はどこかにその動物はひっそりと生活していて、実は絶滅していないのではないか。。。と思うことがあります。理由は絶滅していたらかわいそうだから、ということだけなのですが。。。暗闇や動物、暗い山中など確かに怖がらないことは確かに逆に怖いことかも知れないですよね。
Commented by nabana05 at 2017-06-19 21:51
10年以上前の記事にコメントありがとうございます!
今はパワースポットとして人気なのですね。
私が出かけた時は数えるほどの方にしか会いませんでした。
狼もカワウソも日本人にとって身近な生きもので、
信仰の対象になったりお酒になったり。
どちらも絶滅してしまったことになんとも虚しい感じがします。ほんとにどこか人が決して行けないようなところにいてくれたら!
暗闇に狼がいるかも、と思う恐怖はきっと今暗いところを歩く怖さとはきっと段階が違うのかもしれません。その怖さを手放した代わりに大きな代償を払うことになったのかも…。
<< チダケサシ