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草と言葉

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狼山

「狼山」というお酒を買った。上品な味わいの香りのよい酒だった。
秩父の三峰神社には狛犬の代わりに狼がいる。
江戸時代には農地の害獣を追い払うとして、「お犬様」と呼ばれる山犬信仰が広まったらしい。
神社の裏にお酒の出店があり、そこで「狼山」を買ってきた。
今はもう一匹たりともいない山犬。だから安心して登山もできるのだが、かつて恐れ、また一方ではあがめながら人々がおおいに意識していた存在が消えてしまったということはなんとも空しい。
三峰神社の狼たちはピッと背筋を伸ばしてすわり、夏の日差しを凝視していた。
ミヤマカラスアゲハやスミナガシが舞うことはあっても仲間の遠吠えが聞こえることはない。
山犬の声の聞こえる山はどんなものだったろう、恐ろしく近付きがたいものだったろうか、それとも生き生きとした命のうごめきを感じられるものだったか。
「狼山」を味わいつつ、かつての山の声を想像してみたい。
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by nabana05 | 2005-08-12 06:18 | | Comments(1)
Commented by 草子 at 2005-08-15 01:40 x
狼山のお味は如何でしたか?
勇ましいかっこいい名前のお酒ですね。
nbana05さんのお話のとおり、
安心安全な登山は楽しいけれど、
山中に入ってもおそれを何も感じないことは、
人間にとってかえって怖いことのように思えますよね。
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